現在の日本円の市場為替レートは1990年頃の水準にまで低下したが、この頃の実質実効レートは150程度であり、現在の約2倍あった。
1990年以降、日本の物価上昇率はアメリカの物価上昇率に比べて低かった。この状況下で購買力を維持するためには、円高になる必要がある。それにもかかわらず、市場為替レートが当時とほぼ同じであるために、現在の実質実効為替レートは、1990年頃より低くなっているのだ。
ところで、相対的購買力平価は基準時点との相対的な比較であるため、任意の時点での「あるべき為替レートの水準」を示すことにはならない。それができるのは、基準時点が何らかの意味で「あるべき状態だった」と評価される場合だけだ。
そこで、任意の時点での「あるべき為替レート」を示すものとして、次項で述べる「絶対的購買力平価」が計算される。
ビッグマックによる比較適切なレート
「絶対的購買力平価」は、ある時点において、世界的な一物一価を実現するような為替レートのことだ。
絶対的購買力平価としては、さまざまなものが計算されている。その1つに、イギリスの経済誌『エコノミスト』が作成する「ビッグマック指数」がある。これは、ビックマックの価格が世界で均等化するような為替レートを計算し、それを現実の市場レートと比較するものだ。最新の結果(2024年1月公表)を見ると、次の通りだ.
日本でのビッグマックの価格は450円。アメリカでは、5.69ドル。これらを等しくする為替レートは、1ドル=79.09円。ところが、実際の市場レートは、147.85円。したがって、円は、46.5%過小評価されていることになる。
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