ビックマック指数では、ビッグマックという商品だけを取り上げて計算している。ビックマックは、世界中どこでもほぼ同品質のものと考えられるので、その価格を比較することには意味がある。
しかし、1つの商品だけで評価していいのかどうかという問題がある。そこで、さまざまな商品のバスケットを考え、その平均的な価格について世界的な一物一価が成立するような為替レートを計算することが考えられる。このような購買力平価が、OECDや IMFによって計算されている(これら2つの指標は、ほぼ同じものだ)。
日本は外国に比べて相対的に貧しくなっている
図表2に見るように、IMFの購買力平価は、1980年代の前半には、1ドル220円程度であった。その後、円高への動きが続き、現在では1ドル90円程度だ。
購買力平価が円高になったのは、日本の物価上昇率が、諸外国の物価上昇率より低いからだ。日本の物価上昇率が諸外国のそれより低ければ、為替レートが円高にならない限り、一物一価を維持することができないからである。
そして、こうしたことが生じるのは、日本が外国に比べて相対的に貧しくなっているからだ。これは、次のように考えると理解できるだろう。いま、賃金上昇率が物価上昇率に等しいとすれば、日本人の賃金が伸びないのに、外国の商品の価格は上がっていく。このため、為替レートが不変では、それまで買えた外国のものを買えなくなる。以前と同じものを買えるためには、為替レートが円高にならなければならない。
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