「水産特区」の是非、震災復興案を巡り対立する県と漁協
漁協の組合員になるのにも手間がかかる。国内水産最大手のマルハニチロホールディングスは、子会社社員を社長にした有限会社という形で組合員となり、全国8漁場・9カ所で養殖事業を行っている。
だが「組合員になるまで漁協との関係を構築するのに4~5年はかかる。民間にとって経営のスピードが遅いと言わざるをえない」(マルハニチロ)。
漁業権の免許の優先順位は現状で、漁協が1位、地元漁民を含めた法人が2位以下だ。1位との溝は大きく、全国でも純粋な民間企業が免許を与えられた例はない。
だからこそ漁協の組合員にならなくても、地元漁民と民間企業が共同出資する法人が、免許を直接取得できるようにする。漁業法は変えず、「権利付与の優先順位を漁協と同列にする」(村井知事)ことが、企業参入を後押しするはず。それが特区構想の肝だ。
実は漁協の中から特区創設を歓迎する声もある。岩手県大船渡市で個人でホタテの養殖を営む滝澤英喜氏はこう見通す。
「漁協には、個人の漁業者から水産物を集めて市場に流す、共同販売事業がある。が、手数料が高いうえに、販売ルートが限られる。民間企業が入れば、効率的に全国のマーケットに流せる」。
政府の復興構想会議に先駆けて、日本経済調査協議会の提言では、より具体的な案も出始めた。