「水産特区」の是非、震災復興案を巡り対立する県と漁協

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 漁協側が水産特区に抵抗する最大の理由は、「今でも民間企業は漁業に参入できるのに、なぜ特区を新たに作らなければならないのか」(全漁連の長屋信博・常務理事)、というものである。

宮城県が開放を計画する一定区域で養殖業を営む「特定区画漁業権」については、現行の漁業法でも、民間企業が漁協の組合員となって免許を得て、漁場行使料を負担しさえすれば可能なのだ。

すでに長崎県など西日本では、約40社の民間企業がマグロの養殖に参入している。徳島県の橘町漁協は水産加工・小売りのヒロ・コーポレーションと連携。夏場以外で需要が落ち込むハモの商品群を広げ、通年販売を可能にしたケースもある。

「われわれは民間企業の参入を拒むのではなく、むしろノウハウを活用したいと思っている。しかし特区創設はそうした連携を真っ向から否定する無法者を作り出す」(長屋常務理事)

漁協にぶら下がらず漁業権の免許を与えよ

対する村井知事の考えはこうだ。

確かに現行の漁業法においても、企業の漁業参入は認められている。とはいえ「漁協の下にぶら下がることに抵抗を感じる民間企業もあり、もっと自由に入りやすい環境を作ることが大切だ」(村井知事)。

村井知事が自由に入りにくいと主張する理由の一つが、民間企業が漁協の組合員となって参入する際に支払う金銭負担である。マグロ養殖の場合、漁場行使料に加え、民間企業が出資金・販売手数料・賦課金など漁協へ払う金額の合計は、約3000万円にも膨らむと見られる。さらに負担は各漁協バラバラで、その根拠は多くの場合、開示されていない。

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