流行危機なのに「麻疹ワクチン」が足りない大問題 武田は自主回収、第一三共・田辺三菱は出荷制限
新型コロナウイルスのパンデミック中、世界各国で麻疹ワクチンの接種率が低下したため、世界中で感染が拡大している。日本にも海外渡航者を介して、感染が持ち込まれている。
なぜ、麻疹感染でこれほど大騒ぎするのか。それは、麻疹ウイルスがさまざまな合併症を起こすからだ。
重要なのは肺炎(15%)と脳炎(0.2%)で、ときに致死的となる。医療が発達したわが国でも致死率は0.1~0.2%とされている。
厄介なのは、麻疹ウイルスの感染力が強いことだ。咳やくしゃみによる飛沫だけでなく、病原体の粒子が空中を漂い、離れたところにいる人も感染させる。これを空気感染といい、食い止めるのは難しい。免疫を持たない人が感染すると“ほぼ全員が発症する”と考えられている。
予防にはワクチンしかないが…
麻疹の感染を予防するにはワクチンを打つしかない。
アメリカの疾病対策センター(CDC)によれば、1回接種で93%、2回接種で97%の人が免疫を獲得するとされている。日本の感染研の見解は1回で95%、2回で99%以上だ。2回ワクチンを打てば、ほぼ予防できる。
現在、日本では麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)の形で、1歳代と小学校入学の前年の計2回、公費で接種することになっている。
問題は、日本には十分な回数のワクチン接種を済ませていない国民がいることだ。
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