鉄道趣味ではない人たちにしてみれば、鉄道が趣味の人は、老若男女かかわらずもれなく「鉄ちゃん」なのである。そこに男女の性差はないはずだ。だったら鉄道趣味の世界で「女性優先席」を設けていただくよりも、「鉄ちゃん」でくくってもらうほうが、ずっと居心地がいい。
鉄道趣味は結婚披露宴のようなものだ。いくつもの円卓があり、男性が席決めを行う。撮り鉄の人はここに座ってください、乗り鉄の人はこちらに、というように。そのうちのひとつに「女子鉄」があり、女性側もセッティングされた座席に座る。男性も女性もそこに疑いはなかったりする。
男女区別の発想はナンセンス!
私が鉄道模型を持っているだけで、「すごい」と言われる。JR全線完乗だって、私が女性だからというだけで男性が同じことをしたとき以上に褒めてもらえる。鉄道趣味の男性は女性に親切で、教えを請えばなんでも説明してくれる。テレビも雑誌も女性だというだけで、取り上げてくれる。女子鉄の枠に収まっているときのほうが、何かと便宜を図ってもらえるようだ。でも、私はそこに一昔前の「女性は会社に入ったら補助的な仕事をする」という印象を持つ。
もちろん、ここまで書いてきたのは割と極端な事柄が多い。ただそうは言っても、○○鉄という枝葉の分類の前に、「まずは女子鉄」という入口だけはどうしても通過しなくてはいけないといった感覚は拭えない。会社の業務でこんな区別をしたらセクハラに該当するのでは?ということもまかり通ってしまうのは、「男性が主流」というのを疑う人が少ないからで、現状が正しいと思っている人が大勢いるからなのかもしれない。そもそも、男女という分け方自体がナンセンスと言われる時代である。
今はもう存在しない駅や路線、列車に思いを馳せることはいいことだけれども、趣味における性別まで懐古趣味に走る必要はないと思う。
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