「上司は私」過度な序列意識が部下の恐怖を煽る 感情を排して部下を監督すると何が起きるか

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自らの命が危険にさらされるなか、エルファロのチームは、舵手に方向転換を命じて航路を変更することもできた。

だが彼らがとった行動は、緊張した様子で自虐を交えながら、船長に向かってたどたどしい物言いで進路変更を提案することだった。

ハリケーンが迫る切迫した状況で、直ちに計画の変更を強行する必要があったのに、なぜそうもたどたどしく説得力に欠ける提案となってしまったのか?

しかも船長からは、電話をかけることや行動をとることを「ためらうな」と言われたあとに起こっているのだ。

必要に応じた行動、ものごとをわかっている人間による判断、深刻な脅威についての率直なやりとり。

これらを阻むものは、いったい何なのか?

「垣根を越えてつながる」とは

それはやはり、人々が抱える恐怖心、権力の勾配、心理的安全性の欠如が根底にある。

ここで紹介する、「垣根を越えてつながる」とは、恐怖心への対抗手段となるものだ。

「垣根を越えてつながる」とは、他者を気にかけることである。他者が何を考えているのか、どのように感じているのか、個人的な目標は何かを気にかけることだと思えばいい。

要は、権力ある立場から判断を下すのではなく、隣に並んで応援する立場をとるのだ。

垣根を越えてつながることで、実際に見たものや思ったことを安心して口にできるようになる。

ほかに誰ひとりそれを見たり思ったりしていなくても、正しいと99パーセント確信できなくても関係ない。

つながることで、多様な考え方や意見のバリエーションを後押しする条件が整う。無気力だった人が行動を起こすようになる。

垣根を越えてつながることは、青ワーク(判断や意思決定)の有効性を高めるカギだ。

また、考えることから、行動を起こす(赤ワーク)ことへの移行が促されるので、赤ワークをやり遂げる力を支える役目も果たす。

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