中国の天才エンジニアが語る日本AI開発の潜在力 世界を席巻する中国人エンジニア活用がカギに

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「情緒パートナー」とは何なのか。それは次世代SNSのようなものと言える。第1世代SNSのFacebookはプロフィールなどを入力し、人とつながるプロダクトだった。

一方、第2世代のTikTokやInstagramリールはアルゴリズムに基づいたコンテンツ主体のプロダクトだった。

だがこの第2世代の難点は、ユーザーが関心を示す傾向を読み取る能力が高すぎるため、ユーザーの興味が変わると以前フォローした人の発信するコンテンツが届かなくなることだった。出てくるのは新しいコンテンツばかりで、人と繋がりたいという普遍的な欲求を満たすのは以前と比べて逆に難しくなっているのだ。

生成AIも、今のところユーザーに対して論理的ではあっても、いかにも人工的な受け答えしかできない。だが、AIモデルの更なる進化で、たとえ本当の人間でなくてもユーザーを手助けできるパートナーのようなものが作れると郭氏は考えている。

AIの将来については、汎用人工知能(AGI)の開発といった長期的な目標よりは、まずは次の一歩としてまもなくスマホやコンピューターにAIが搭載され始めることに注目する。アプリが以前より格段に高性能になるので、全てのアプリを再開発する必要があり、すでに流行っているアプリにとっては一気に廃れかねないリスクがある。

近くアプリの世界で大転換が起きる

ニューカマーの郭氏にとってはチャンスということなのだろう。彼は、 「来年から再来年にかけてAppleがAIの能力を徐々に向上させた後には、アプリの世界では天地がひっくり返るような変化が起こる可能性がある」と予測する。

また郭氏は、今後中国人がアメリカを中心にAI関連企業を世界各地で創業していくだろうと予測する。「中国人がアメリカや日本で創業していくと思います。アメリカでもスタートアップができますが、創業者や(開発)チームは中国人ということになりそうです」。

アメリカでは金利の引き下げが秒読み段階になっており、スタートアップには追い風となる。今後数年で多くの企業が誕生していくと予測する。

さすがアメリカと並ぶAI開発大国から来ただけあって、郭氏の指摘は日本ではあまり聞かない新鮮なものばかりだった。OpenAIが日本にアジア初の拠点を築くなど、滑り出しが順調な日本のAI戦略だが、中国的視点を取り入れるとその可能性はより広がるのではないだろうか。

舛友 雄大 中国・東南アジア専門ジャーナリスト

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ますとも・たけひろ / Takehiro Masutomo

カリフォルニア大学国際関係修士。2010年中国メディアに入社後、日本を中心に国際報道を担当。2014年から2016年までシンガポール国立大学で研究員。

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