ルネサス、発足後初の黒字でも喜べないワケ ITのプロ、遠藤新会長に待ち受ける荒波とは

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だが、遠藤会長の前途は多難だ。半導体業界では、再編の動きがグローバルで本格化。3月には、ルネサスが主軸とする車載用半導体分野の競合である、蘭NXPセミコンダクターズ社が米フリースケールセミコンダクター社の買収を発表した。今年後半に予定される両社の統合が完了すれば、ルネサスは車載用半導体の世界シェアトップの座を譲り渡すことになる。

こうした合従連衡の動きに対して遠藤会長は、「IT業界でも起きたことで、多すぎる会社が淘汰されていくのは当たり前。(ルネサスとしても)自社のコアテクノロジーを分析した上で、弱いところや市場を補完する、足し算できる会社があればターゲットとなる。現在はキャッシュがそれほどあるわけではないので大胆な手は打てないが、いずれどこかのタイミングで視野に入ってくる。慎重かつ大胆にやっていく」と、他社の買収も視野に入れていることを明らかにしたうえで、今後の注力分野として、車載、産業機器、IoTなどを挙げた。

今年10月にロックアップ解除が迫る

だがルネサスは、2013年9月末に産業革新機構による出資を受けており、実質的に国有化の状態にある。ルネサスの7割の株式を保有する産業革新機構は、ロックアップ(株式の売却禁止)が解除される今年10月以降、保有株の譲渡など出口戦略を検討する予定だ。そのため、産業革新機構が手放す自社株の取得などを迫られる可能性がある。となれば、黒字体質になってもしばらく成長に回せるキャッシュは限られるかもしれない。

またこれまでの大規模な人員削減などにより、社員の士気低下も指摘されなど、「負の遺産」がすべて払拭されたわけでもない。こうしたハンデを課せられた中で、激変する半導体産業の荒波をいかに乗り切っていくのか、新会長の手腕が注目される。

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