また、決勝には「アタックモード」という要素もある。これは、通常300kWの最高出力を一時的に350kWまで引き上げるモードだ。しかし、このアタックモードを使用するには、ひとつのコーナーに設定される「アクティベーションゾーン」を通過する必要があり、そこを通過するときはタイムが落ちる。
決勝レースでは、タイヤ交換や充電などのためのピットストップが義務付けられていないので、アタックモードによるチーム戦略がレース勝敗を大きく左右するわけだ。こうした「これまでにないレース規定」に対して、「ゲーム性が強くて馴染めない」という、既存モータースポーツファンの声がある。
![上空から見たサーキットの様子。まぎれもなく東京・有明の景色である(写真:Formula E)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/7/8/570/img_78894079becee850953ecea6a5b930fb472221.jpg)
その他、コース設定についても、市街地レースに特化したフォーミュラEはコース幅が狭く、抜くポイントがあまりないことをネガティブ要因として挙げる人もいるようだ。
参戦「する/しない」メーカーの捉え方
このように、さまざまな点で違いのあるF1とフォーミュラEは、参戦するチームや自動車メーカーの捉え方も違う。
現在のフォーミュラEには、日産、ポルシェ、ジャガーなどがメーカー本社直轄のいわゆるワークス活動として参戦している一方で、メルセデス・ベンツ、アウディ、BMWが近年、相次いで撤退している。
![S字コーナーを駆け抜ける日産のマシン(写真:Formula E)](https://tk.ismcdn.jp/mwimgs/c/4/570/img_c45dc2f0effc4d35c24b6ad458eb3817464607.jpg)
その理由について、F1と比べた際の観客数やテレビ視聴率の低さ、派生する事業などに対するコストパフォーマンスの悪さなど、マーケティング戦略に対する懸念を示している。
また、BEVという観点での不安もある。フォーミュラEが誕生した2014年から2020年代前半は、グローバルでBEVシフトが急激に進み、フォーミュラEはまさに「BEV市場拡大の象徴」であった。
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