中国の「超富裕層」が4年ぶりに縮小した背景事情 不動産相場の下落と株価低迷がダブルパンチに

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胡潤研究院の首席アナリストを務めるルパート・フーゲワーフ氏は2019年版のレポートで、中国の富裕層が初めて減少した要因について、(不動産相場が横ばいで推移する中で)中国の経済成長鈍化や米中経済摩擦の影響を受け、中国の主要株価指数が2割以上も下落したことを挙げた。

(訳注:フーゲワーフ氏はイギリスの公認会計士でコンサルタント。1999年に独自調査による中国の富豪ランキングの発表を開始した。「胡潤」は同氏の中国語名)

「胡潤財富レポート」は、中国の富裕層に関する最も権威ある調査報告書とされる(写真は胡潤研究院のウェブサイトより)

ところが翌2020年から2022年にかけて、中国の富裕層は微増ながらも再び拡大に転じた。新型コロナウイルスの世界的大流行が猛威をふるう中、中国経済は(政府の厳しい防疫措置により)底堅さを維持し、国内株式市場のパフォーマンスが海外の主要市場を上回っていたからだ。

相対的富裕層も縮小

だが2023年に入ると、中国の富裕層は不動産相場の急落と株式市場の低迷というダブルパンチに見舞われた。同年の富裕層の増減率が4年ぶりのマイナスに転落したのはそのためだ。

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なお、2023年版のレポートは保有資産600万元(約1億2600万円)以上の区分で見た中国の相対的富裕層の世帯数についても、前年比0.8%減の514万戸だったと推計している。

「国際社会に生じた(ロシアのウクライナ侵攻や米中対立激化などの)地政学的変化に伴い、世界経済の先行きは不透明さを増している。(中国を含む)主要国の富裕層の保有資産に及ぼす負の影響は避けられない」。フーゲワーフ氏は、2023年版のレポートの中でそう述べた。

(財新記者:張燦)
※原文の配信は3月21日

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