業界の異端児2社が「組織の結婚式」を行ったワケ 従業員が握る「株式0.1%」が経営に与える影響
今後、カヤック傘下となって英治出版はどう変わっていくのか。原田代表は「長期的に発展していくには、株式市場の中で多様性を大切にしているカヤックという会社が必要だと思った。創造力は多様なものが組み合わさって生まれるわけで、そういう文化を志向している会社とまるっと一緒になることで、英治出版の創造性が最大限に引き出される直感的確信があった」と語る。
相乗効果については「英治出版は真面目な会社で、カヤックは面白がる会社。カヤックから多様な刺激を受けながら、シナジーを出していかなければ」(原田代表)と意気込む。
英治出版は金融商品取引業者で、出版業界では唯一ブックファンド(匿名組合を使って出版プロジェクトに投資する仕組み)を手がける。「たとえばカヤック傘下の初の金融商品会社として、地域創生や起業家育成ファンドを作ることもできる。カヤックと英治出版のリソースが合わさって何か違う方向のシナジーが出来上がると思っている」(原田代表)。
柳澤CEOも「お互いに念願かもしれないが、『新しい読書体験』を届けるようなものができたら、革新的だし面白いと思う」と語る。
「今の読書は一部の人に限定されている感じがするが、本は非常に人生を豊かにしてくれる。だから体験そのもの、もしかすると別のものになってしまうのかもしれないけれど、イノベーションを起こすことがあればいいと思っている」(柳澤CEO)
異業種だから面白いことができる
今回の子会社化について柳澤CEOは「この数年でM&Aが、すごく盛んになってきている。後継者のいない会社が何十万社も出てきて、仲介ビジネスも伸びている。成功や失敗があると思うが、『こういう形だったらいいね』というものが生み出されれば、チャレンジをしてみようという人が増えて日本経済全体が盛り上がると思う」と語る。
その上で「異業種だからこそ面白いことができるとチャレンジをし、結婚という言い方をした今回の子会社化が、『これだったね』と示せるようにがんばりたい」(柳澤CEO)。
原田代表は5月の株主総会で退任するが、「1人のプレイヤーとして、もう1度カヤックと一緒に地域の経営者の育成をやっていきたい」と新たなチャレンジに意欲を見せた。
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