「91.4%起こらない」のに不安が消えない根深い訳 「心配ばかりで苦しい」を今すぐ取り除く方法

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つまり、「ああではない」と嘆くのではなく、「いまこうである」を楽しむべきだということである。

「いまやりたくない仕事」はどうするか?

もちろんそれは、仕事についてもあてはまる。

たとえば、どうしても気持ちの乗らない仕事があった場合には、誰かに代わってもらえないか掛け合ってみるのもひとつの手だ。

なによりまずいのは、自分で「やらないといけない」と思い詰めてしまうこと。あえて周囲の力を借りることが、よりよい結果につながるケースもあるのだ。

それでも避けられないのなら、フォーカスをもっと手前に引き戻し、意識的に楽しむべき。嫌な仕事は長く感じるものなのだから、どうせならその作業中に感じられる楽しみをいち早く見つけ、それを味わいながら仕事をこなすほうがいいわけである。

また、「嫌な仕事」を次のように脳内でポジティブ変換することも、精神衛生上、大きなメリットがあるそうだ。

「仕事でミスをした」(ポジティブに言い換え→)「これは何か他の大きな失敗と引き換えに先取りしたのだな。この程度でよかった!」
「明日までにどうせ選ばれないアイデアを100個考える」(ポジティブに言い換え→)「次の1個で人生変わるかも!」
「たった一度の会議のためだけに、大量のコピーを用意する」(ポジティブに言い換え→)「これは疲れた脳を休ませるチャンス到来!」
(119ページより)

言語化すると軽く感じられるかもしれないが、これも先述の「フレーミング」と同じく重要なスタンスであるという。

もちろんポイントは、未来にフォーカスするのではなく、「いま」に集中することだ。

秘訣はすべて「いまを楽しもう」と試みること。無理は決してしないこと。
そして「私は、それが嫌なのだけど」と自分に言う代わりに、あえてその中に楽しみを見出すようにすると、楽しく感じられるものです。(128ページより)

先述したように、人生に不安はつきもの。だとしたら、その渦中でもがき続けるより、楽しみながら乗り越えるほうがいいということである。

印南 敦史 作家、書評家

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いんなみ あつし / Atsushi Innami

1962年生まれ。東京都出身。広告代理店勤務時代にライターとして活動開始。「ライフハッカー[日本版]」「ニューズウィーク日本版」「WEBRONZA」「WANI BOOKOUT」などで連載を持つほか、「ダ・ヴィンチ」など紙媒体にも寄稿。『遅読家のための読書術――情報洪水でも疲れない「フロー・リーディング」の習慣』(ダイヤモンド社)、『世界一やさしい読書習慣定着メソッド』(大和書房)、『人と会っても疲れない コミュ障のための聴き方・話し方』(日本実業出版社)、『読んでも読んでも忘れてしまう人のための読書術』(星海社新書)など著作多数。

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