外国人がびっくり「日本のお通し」ここがヘンだよ 店側にとってのメリット、トラブル防ぐ対処法
せっかく、日本の食文化に興味をもってもらっているだけに、お通しの体験を“日本旅行のよい思い出”として持ち帰ってもらいたい。そのためには、料金も含めてお通しのシステムについてしっかりと説明する必要がある。
ちなみに、お通しの発祥には、江戸時代に客からのリクエストに応じて、おまかせの酒肴を提供していたことが起源であるという説もある。そう考えると、お通しは数百年続いたおまかせの酒肴であり、大切な日本の食文化であるといってもよい。
店側がお通しを出す理由
トラブルのもとになりやすいお通しだが、それでもお店側が提供を続ける理由もある。
お通しには、入店したばかりの客を待たせないための、配慮や機能がある。入店してから、店員がオーダーを取りに行き、そこから料理を作るとなると、当然のことながら時間がかかってしまう。
混雑状況にもよるが、簡単なサラダなどであったとしても、オーダーを取ってから席に運ばれてくるまで5分くらいを要するだろう。
だが、お通しは、どの客にも共通して提供されるものなので、事前に用意することが可能だ。そのため店側は、客が着席してから、すぐに提供することができる。
コロナ禍でスタッフが離れてしまい、多くの飲食店ではいまだに人手が足りていないだけに、事前に準備できるのは非常に助かるのだ。
お通しは、お酒と一緒に味わう酒肴といった位置付けでもあり、最初に注文するビールなどのアルコールにもよく合う。
また、飲食店が柔軟に内容を決めることができ、食材を効率よく利用できるという利点もある。
余っている食材を利用したり、安く仕入れられた食材を活用したりなど、素材を効率よく利活用できるのは、SDGsの観点からも好ましい。お通しという“おまかせ”の一品が提供されることは、サステナビリティーの観点からも非常に意味があるのだ。
飲食店のコストは、提供される料理だけに、かかっているわけでは当然ない。料理人や、サービスを遂行するスタッフの人件費はもちろん、飲食店が入居するための賃貸料、内装の施工や維持の費用、テーブルウェアの購入費、空調や明かり、ガスといった光熱費など、皿の上以外にもたくさんのお金がかけられている。したがって、客がテーブルに座るだけでもお金がかかると考えていい。
イタリアの飲食店ではコペルトというテーブルチャージ(席料)が料金に計上される。日本の飲食店でも、コペルトや席料といった名目で料金をとることは珍しくない。夜のバーに行けばテーブルチャージが課され、生演奏があればカバーチャージ(ミュージックチャージ)が加算される。

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