ビットコインが「こんなに爆上がり」している背景 「使わない」暗号資産を大金で買う人が増えた訳
さて、このコインの存在を認知する人が増えて、20人になったとしよう。それぞれが1万円なら投資していいと思ったとすると、コイン全体の総額は20万円になる。このとき、1枚あたり、2000円で取引されている。
20人が2000円のコインを5枚ずつ保有することになる(もともとコインを保有していた10人が半分<5枚>売っている前提だが、中には保有し続ける人もいるから、実際は2000円よりも高くなる可能性が高い)。
こうして、トーケイコインの価格が1000円から2000円に上がるのをみて、さらに他の人も投資を始め、購入者は100人まで増えた。
また、投資する人はこう考えるようになる。
「安定的に値上がりするなら、1万円じゃなくて10万円くらい保有しておこう」
こうなると、コイン全体の総額は一気に1000万円に跳ね上がる(10万円×100人)。その結果、1枚あたりの価格は10万円になる。
ポイントは「1枚あたりの価格」が度外視されること
これが、暗号資産の価格が上がるメカニズムだ。重要なポイントは、誰も1枚あたりの価格を気にしないことにある。
保有する人が増えて、保有することの安心感が増えれば、価格はどんどん上がっていく。
誤解してはいけないのは、値上がりしてハッピーになるわけではないのだ。値上がりしても、その価格で売れなければ、儲けを現金化することはできない。
新しく保有したい人がいなくなったら、そこで値上がりは止まる。値上がりが止まったところで売ろうと思っても簡単に売れない。なぜなら、“新しく保有したい人がいなくなった”からだ。
買ってくれる人がいなければ、価格は下落する。このままじゃまずいと思って保有額を減らそうと思う人が他にも大勢いるから、価格は急降下する。
これがドルなどの通常の通貨であれば話が変わる。1ドルあたりいくらなのかを気にする参加者が大勢存在しているからだ。
1ドル200円のドル高円安になれば、海外旅行の費用が高くなり、海外へ旅行する日本人は減るし、円安の恩恵を受けて、北海道の土地を買う外国人は増える(外国人からみるとドルで換算した価格が安く見える)。その結果、ドル売り圧力が強くなる。
このように、値上がり期待の人が増えても価格が一方的に上がることはない。しかし、逆もしかりである。値上がり期待の人が急に減っても暴落することはない。
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