ダイエー、食品特化の新業態スーパーの成否 イオンの完全子会社化でどう生まれ変わるか

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ライフコーポレーションやマルエツ、ヤオコーなど首都圏の食品スーパーは軒並み業績好調だ。だが、ダイエーは前2015年2月期に大幅赤字を計上。今年3~5月期も既存店売上高が前年比で1~2%下回り、6月も前年並み止まりのようだ。下げ止まっているとはいえ苦しい状況が続く。

これまでの不振の理由について、近澤社長は「複合的ではあるが、売上数値の伸び率でいうと、店舗年齢に起因していることが多い。2年目、3年目の店を多く抱える(好調な)スーパーと、われわれのように30、40年で既存店のリニューアルも10年以上していない店とは違う」と話す。

イオンはダイエーを今年1月に完全子会社化。地方店舗はイオングループ各社に譲渡する一方、首都圏と関西圏では駅前立地が多いダイエー店舗を生かして、都市型業態として建て直す方針を打ち出している。負の遺産に苦しめられてきたダイエーは店舗閉鎖を進める一方、既存店投資は後回しになっていた。今後はこれを機に新店も増やしていく方針だ。

固定費の増加を吸収できるか

特にターゲットにしているのが、取り込めていなかったファミリー層だ。ただダイエーがイメージを変えるのは大変だ。今回もダイエーの屋号をそのまま残したのは50代以上に配慮したからだろう。

近澤社長は今後の屋号について「イオンフードスタイルは京阪神と首都圏で早くブランドが定着するように努力し、定着したら初めからフードスタイルとして出店したい。今は過渡期だ。情緒的にダイエーがなくなるとかではなく、新しい業態でお客さんに提供できるものと考えたい。阪神地区には40年間ダイエーに親しんだお客さんがたくさんいる。このロイヤルカスタマーを大事にしながら展開したい」と話す。

肉の試食コーナー。ライブ感を打ち出して集客を狙う

ダイエーは赤羽店で今期売上高36億円(前年比10%増)を目指す方針だ。ただ今回のリニューアルでは多くの試食コーナーを設けたり、ガラス張りで調理を見られるライブ感を演出しているが、裏返せば人件費も増えることになる。想定通りに売り上げが上がらなければ固定費が高い分苦しくなる可能性もある。ダイエーよりも赤羽駅に近い場所には、米ウォルマート傘下の西友がEDLP(エブリデーロープライス)の旗艦店を構えており、価格に敏感なファミリー層からの支持も高い。

はたしてダイエーの新業態店1号店は成功するのか。完全子会社化したイオンの威信がかかっている。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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