ダイエー、食品特化の新業態スーパーの成否 イオンの完全子会社化でどう生まれ変わるか
イオンの完全子会社となったダイエーは6月20日、食品分野に特化した新業態スーパー「フードスタイルストア」1号店を東京都北区にオープンした。これまでのメイン顧客であるシニア層から30代~40代のファミリー層や働く女性を新たなターゲットに置いた戦略店に位置づけ、今年度中に5店程度に増やす計画だ。
同店は東京・JR赤羽駅近くにあったGMS(総合スーパー)「ダイエー赤羽店」を大幅改装してオープン。ダイエーという屋号を残しながら、「イオンフードスタイル」という新たな看板を併設した。
その名の通りに食品売り場を充実させたことが特徴だ。衣料品売り場は従来に比べて6割以上縮小する一方、食品売り場を3割増やすなど生鮮や総菜に力を入れることで、GMSから総合食品小売業への脱皮を図る。
初日は開業前に600人が列を作る
会見したイオン出身の近澤靖英ダイエー社長は「スーパーの延長線上ではなく、高い専門性を持った新たな店舗として生まれ変わる第一歩にしたい」と意欲を語った。開業初日は約600人が開店前に列を作り、今後も安定して再建軌道に乗せられるかどうかが注目される。
同店は3階建て。1階の食品売り場は、和牛や鮮魚コーナーを充実させたことや、トマトなど生鮮の種類が豊富なことを売りにした。また専属販売員を配置し、試食コーナーを充実させたことも特徴だ。またピザやフレンチトーストを店内で食べられるイートインコーナーも新たに設けた。改装前は衣料品売り場だった2階はワインや日本酒、ホッピーなど酒類専門店や料理教室、カフェ、イベント広場などに一新した。衣料品や雑貨売り場は3階に縮小しながらも残した。
近澤社長は1階の食品売り場に加え、2階への誘導も成功のためのポイントに掲げる。「今までの店舗は2階以上で商売できていなかった。ほかのGMS各社もそうなりつつあるが、ダイエーはもっと顕著だ。2階に新しい空間を作ることで楽しんでもらう」と狙いを説明する。
赤羽店は商圏2キロで約9万世帯と潤沢なマーケットがある。中でも30代が住民で最も多く2割近くあるが、ダイエーを訪れるのは50代以上の顧客が多く、マスマーケットを十分取り込めていなかったという反省がある。そのため、今回のリニューアルでは輸入品やお酒の充実、子どもが楽しめるカフェなども用意したという。
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