「それ聞く?」外国人が戸惑う日本メディアの取材 日本とアメリカのメディアは意外と違う

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さて、ここで冒頭の大谷選手の通訳報道についてみてみましょう。

メディアは国民の「知りたい」という欲求によって動かされているところがあります。人気者の大谷選手のことならなんでも知りたい、というところから、今回の件も余計に大きな話題になっているのは間違いありません。

いきなり「バイアス」がかかってるような報道

日本のメディアのニュースを見ると、元通訳氏がバイトしていた寿司屋さんのコメント、たばこの匂いがしていた、サインボールを私物化していたなど、おそらく事件の本質とは関わりのないところにまで取材がおよんでいるのはちょっと驚きです。

一方、アメリカのメディアも「学歴詐称ではないか」など、今このタイミングで掘り返さなくてもいいような話題もとりあげています。

こうしたある意味どうでもいい情報が出てくるのは、報道側が当事者について一定の印象を与えるような意図をもって報道しているからでしょう。これらが事実かどうかはさておき、本来徹底して客観的であるはずの日本のメディアとしてちょっとニュースの出し方にあやうさを覚えてしまいます。

このような時、ニュースの受け手であるわたしたちは、「それはそれとしてこの問題の本質はなんなんだろう」と考えることで冷静でいられるのではないでしょうか。

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デビット・ベネット テンストレント最高顧客責任者

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David Bennett

1979年にジャマイカで生まれ、カナダ国籍を持つ。カナダトロント大学大学院卒。早稲田大学にて日本語を習得、学習院女子大学大学院にて日本古典文学を学ぶ。東京でコンサルタントとして社会人キャリアをスタート。AMD社コーポレートバイスプレジデント、および同社のレノボアカウントチームのゼネラルマネージャーを務め、コンシューマー、コマーシャル、グラフィックス、エンタープライズプラットフォームなど広範な事業を手掛ける。2018年5月レノボ・ジャパン社長に就任、2022年6月から現職。古典文学が好き。

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