「ジムさんは今何歳ですか」
実はこれ、こうした一連の取材で日本の記者から一番多く聞かれたことです。(え、年齢ですか?それを聞いて何がしたいんですか?)と心の中で何回口走ったことでしょう。もしかすると何回か心の声が外に出てしまっていたかもしれません。
実はあとからわかったのですが、この年齢の情報というのは単なる「ファクトの確認」でしかありません。他にも出身地、国籍、会社の本社はどこにありますか?CEOに就任したのは何年からですか、ということも必ず聞かれます。こうした基本プロフィールを確認することはどうやら取材の「テンプレ」らしく、当然そこが取材の本命の質問ではありません。
アメリカの記者の質問はストレート
一方、普段接しているアメリカの記者の質問というのは、大抵なんらかの記事を書く狙いがすでにあり、そのための質問をストレートに聞いてきます。
例えば、「NVIDIA社をどう思うか」と聞かれた場合、ああ、この人はジムがNVIDIAに喧嘩を売っている、といううがった見方の記事にしようとしているんだな、という想像が働き、それに対して自社に損がないような表現を考えます。
ところが、今目の前にいる日本の記者から聞かれているのはCEOの年齢です。え?それを聞いて何を書くんだろう。もしかして「CEO、年齢に不安」とか?それとも友達になりたいの?いや、今日初対面だよね?などなど、軽いパニックになってしまいます。
日本のメディアは、客観性を重んじ、事実をそのまま読者に提供し「さて、みなさんはこの事実の積み上げから、このニュースの意味をどう解釈しますか」という問いを読者にぶつけています。ある意味、読み手に高い情報読解能力を求めていることになります。そのためには、事実を正確かつ客観的に描き出す必要があり、ファクト確認を丁寧にするのだと思います。
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