がんは年齢が高いほどかかりやすいため、高齢者が多い地域ほどがん患者は増える。今回紹介するランキングでは、そうした地域差を排除した年齢調整罹患率(人口10万人対)を用いているため、地方や都市部など年齢構成の異なる地域でも、正しく比較できる。
ランキングを見ると、熊本県、沖縄県で高く、東京都、青森県、北海道がほぼ同率で続き、長崎県や福岡県など九州地方も多い。
乳がんが増加する背景とは?
乳がんが増加する背景にはまず、高脂肪・高タンパク質の欧米型食生活への移行があるとされている。
長寿県で知られた沖縄県をはじめ、一部の九州地方でも伝統的な食習慣が変化し、欧米型の食生活が取り入れられたことで、女性の肥満が極端になり、閉経後の乳がんの罹患率の上昇につながった可能性がある。
東京都など、都市部で罹患率が高い理由についてはどうだろうか。
国立がん研究センターがん対策研究所の松田智大さんは、「女性の社会進出が進み、出生率の低い都市部では、出産や授乳の経験が少ない女性が多く、これが罹患率を高めているのでは」と分析する。
妊娠・出産の減少で、女性ホルモンの1つであるエストロゲン(卵胞ホルモン)に曝される期間が長くなっている。エストロゲンは乳がんの発生や増殖に深く関わるため、その影響を受けている可能性が高いという。
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