これから数十年間に世界の所得拡差は縮小する--ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授


次世代の技術進歩で教育の国際的な平準化が進めば、所得の平等化が進むのは間違いない。現在、多くの貧困国では、教育資源、特に大学教育の資源が限られている。加えて、今日まではインターネットやコンピュータは富裕国と貧困国の格差を拡大させてきた。

だが、そのトレンドがいつまでも続くわけではない。最終的には、高等教育も、自動車産業やメディア産業と同じように、技術の波の影響を受けることになるはずだ。もし教育のコモディティ化が、少なくともレベルの低い一般の大学のコースにまで及べば、それが所得格差に与える影響は甚大なものになるだろう。

多くの評論家は、格差の拡大はグローバリゼーションの進展と技術開発の避けがたい副産物だと信じているようだ。彼らの見解では、社会的均衡を回復するために政府は積極的に介入すべきという結論になる。

私は、こうした考えに反対だ。労働者の権利を考慮するなら、累進課税制度は必要である。だが、過去は必ずしも将来を示すものではない。労働力の弾力性を前提とすれば、過去の傾向を将来に当てはめ、「今後数十年間に相対価格の不平等が拡大する」と予測するのは、危険とまでは言わないが、愚かである。

Kenneth Rogoff
1953年生まれ。80年マサチューセッツ工科大学で経済学博士号を取得。99年よりハーバード大学経済学部教授。国際金融分野の権威。2001~03年までIMFの経済担当顧問兼調査局長を務めた。チェスの天才としても名を馳せる。

(週刊東洋経済2011年7月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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