「さよならTポイント」、衰退の背景に屋台骨の難題 TSUTAYA不振に「挽回策」の蔦屋書店も拡大せず

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Q:Tポイントはなぜここまで衰退した?

CCCと三井住友フィナンシャルグループ(FG)との間では2023年4月に、資本業務提携が締結されました。新ポイントでは、青と黄のイメージカラーが継承される一方、名称は「Vポイント」に統一され、Tポイントのブランドは消滅します。

単独での運営が厳しくなったのは、端的に、後発組に押されたということでしょう。とくに強いのが楽天グループの「楽天ポイント」、NTTドコモの「dポイント」。いずれも十分な還元原資を確保し、ポイント還元合戦を仕掛けてきました。

対するCCC。DVDレンタル、書店の市場が衰退しているTSUTAYAビジネスが中心では、ポイントに回せるお金が限られます。思い切った還元策は取りづらい中で、だんだんと存在感を落としていきました。

象徴的なイベントは、大きな加盟店の一つだったファミリーマートでの取り扱いの変更(2019年)です。それまではTポイントしか貯められなかったのが、楽天ポイントも、dポイントも貯められる・使えるという「マルチポイント戦略」に転換しました。

続いて2021年末にはヤフーが、グループ内で手がけているキャッシュレスサービス「PayPay」にひもづく「PayPayポイント」に取り扱いを集中させていく方向に動きました。

ファミマとヤフーはTポイントの運営会社に出資もしていたのですが、それを引き揚げてしまった。まさに「Tポイント離れ」といえる動きです。

Q:TSUTAYAはなぜ不振に陥った?

ここ5年間で500超と、非常に多くの店舗が閉店しています。DVDレンタルや書店業が厳しいのは当たり前なので、新しい業態も当然開発してきました。その1つが代官山などで展開している「蔦屋書店」。ただ、これもあまりうまくいっていないというのが取材した感触です。

蔦屋書店はいろいろな商材、カフェなどを含めた業態を組み合わせた店づくりをしており、施設の規模が大きくなる。しかも内装も洗練されている。となると、初期投資も維持費も高額になりがちです。

TSUTAYAの店舗はフランチャイズが9割ですが、地方のオーナーさんからすれば「(蔦屋書店に業態転換するとして)うちでそこまでの費用を負えるか?」という懸念がある。そういう背景で、これまでなかなか店舗網が広がり切らなかったという事情があります。

既存のTSUTAYAでも、DVDや書籍だけでなく雑貨、トレーディングカードといった新しい商材を取り入れたり、シェアオフィス機能をつけたりと、いろいろな動きはあります。ただ、打開策になるようなものは出ていないのが現状です。

結果として、2018年ごろから赤字に陥る店舗が徐々に増えていきました。CCC連結の業績を見ると、直近の売上高は、子会社が連結から外れるなどテクニカル要因を含むものの、ピーク時の3分の1程度まで縮小しています。

▼出演記者の最新記事はこちら
https://toyokeizai.net/list/author/森田 宗一郎

東洋経済の動画シリーズ「Q Five」では、産業、企業、経済、政治などの注目テーマを「5つのクエスチョン」で掘り下げます。
「Q:進めている構造改革の焦点は?」「Q:これからCCCはどんな会社になる?」などを含むフルバージョンは動画でご覧いただけます。

※動画内の数字や肩書は収録時点(2023年12月末)のものです

動画内写真:今井康一、梅谷秀司、佐々木仁

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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