「(改変は)重要な話題」と、リアムは前置きしたうえで「小説とドラマは切り離して考えたほうがいいとも思っています。どうしてかというと、演じるとは、登場人物に命を吹き込むことであって、本を読んだときに描いた想像を超えていかなければならないからです」と続け、改変に対する1つの答えを導き出していました。
「オックスフォード・ファイブ」の狙い
真摯に答えたリアムの言葉に納得する一方で、どうしても気になるのが随分とキャッチー過ぎる「オックスフォード・ファイブ」というネーミングです。エイザ・ゴンザレスやジョン・ブラッドリーら5人の仲良しグループをそう呼んでいます。オックスフォードで共に学んだ同級生という設定です。原作の主要な登場人物を集約させる狙いがあるのでしょうが、捻りのない設定のように感じます。エログロを強めたゲースロクリエイターが今度は青春テイストを強めたといったところでしょうか。
ロンドンで行われた取材会では、ショーランナーと呼ばれる製作責任者であるデヴィッド・ベニオフとダニエル・ブレット・ワイス、アレクサンダー・ウーの3人にも話を聞くことができました。デヴィッドとダニエルは「ゲースロ」のクリエイターメンバーで、アレクサンダーはヴァンパイアシリーズの「トゥルーブラッド」を代表作に持ちます。今回、この作品のために人気クリエイターの3人がタッグを組み、手掛けています。
「オックスフォード・ファイブ」の狙いは想像通りの答え。要約すると、「キャラ立ち」させるためでした。ただし、新たに作り出したキャラクターはクリエイターとしてこだわりを持ったものでした。
「世界のさまざまな地域の視点をキャラクターに表したかった。さまざまな地域の出身者たちがどのようにして1つになるのか、あるいはどうして1つになれないのか、こうした現象は現実世界でも起こっていることです。何かに直面したときにこそ顕著に表れます。もし、私たちが本当にエイリアンに攻撃されるとしたら、地球全体で立ち向かわなければならないしね」。原作を解釈したうえで、3人が共に行き着いた答えがこれということです。
人気原作を人気クリエイターが作る理屈以上の作品になっているか確かめる価値があるとしたら、映像表現にあります。なかでも、超未来的なVRヘッドマウントディスプレーを被ってログインなしで中国の殷王朝やイギリスのチューダー朝のVRゲームの世界に入るシーンは必見です。原作を知っても知らずとも、ゲースロファンであろうとなかろうと、理屈抜きに見たことのないような新しさを感じるはず。こうした攻めがもっとあってほしかったと思うなか、結局はどの角度からも評論してしまう。そんな作品なのかもしれません。
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