「縛られない働き方に憧れる」会社勤めの彼の盲点 キャリアを歩むうえで、一貫性があるかどうか

✎ 1〜 ✎ 315 ✎ 316 ✎ 317 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

もちろんどちらを選ぶのか、といったことは、本人が決めるべきことです。どちらが優れているのか、といった議論はここではしません。

頂戴した相談にNTさんが列挙されているようなケースは、「現在は」あるのかもしれません。

問題はこの「現在は」という箇所です。要はそのようなチャンスがいつもあるわけではない、ということです。いつもあるわけではないですし、いつなくなるかわからない、ということでもあります。

頂戴した例は、人手不足、円安、巨額投資、といった外部環境に依るところが大きく、それらの外部要因が重なって、今の状況が作られているわけです。

もちろん過去からそうだったわけではありませんでしたし、また前述したとおり、いつ終わってもおかしくない状況なのです。

キャリアでは一貫性が重視される

不安定な状況を前提としつつ、それでも「渡り鳥的に」生きたい、というのであれば、もちろんそれは本人の選択ですから、そのような働き方もアリなのでしょう。

ただし、その時々にチャンスがあるかどうかがわからないことに加えて、一貫したスキルや経験も積みにくい、という側面はあります。

ご存じのとおり、キャリア上の経験やスキルの蓄積という意味においては、一貫性やその中における成長、といったものが非常に大切なのですが、渡り鳥的な生き方では、その双方における継続性を担保できない、またはしにくい、という側面はあります。

人生もキャリアもそうですが、「攻め」だけではなく、「守り」も大切です。守りとはイザというときの備えであり、プランBのようなものであります。つまりは、自分にとっての現実的な選択肢を持っているか否か、です。

経済が好調だったりするときは、職業上の機会は幅広く提供されますが、つねにそうとは限りません。

そうであれば、一職業人としては、やはり職業上の機会が限られているような状況でも立ち回れるような経験やスキルを蓄積し、イザというときにも備えておきたいものです。

「自由」や「誰にも縛られない働き方」という言葉を、NTさんは使われていますから、おそらくその趣旨としてはご自身のキャリアや人生において、つねに複数の選択肢を有していたいし、そういった状況をご自身の経験やスキルを通じて構築したい、という考えが背景にあるように思えます。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事