道の駅から「おばあちゃんの味」が消える深刻事情 「いったいどうすれば」困惑する生産者たちの声
野村さんが作る古漬けは、1年物から6年物まであり、年数を重ねた漬物ほど味がまろやかになる。店先には、野村さんが「この木樽で漬けないと、この味にならない」という年季の入った木製の大きな漬物樽がずらり。植物性乳酸菌たっぷりの、昔ながらの製法にこだわった漬物だ。
岐路に立つ手作り漬物の販売
季節の無農薬野菜を使った漬物作りを父親から継承し、日曜市で販売し始めて40年近く。誇りを持って続けてきた漬物作りが、岐路に立たされている。理由は、食品衛生法の改正だ。
漬物はこれまで、多くの都道府県で条例に基づく届け出をすれば販売できた。ところが、2021年に改正された食品衛生法の施行によって、今年6月以降は、専用の加工場など国が定める衛生基準をクリアする設備で製造した漬物しか販売できなくなる。
加工場と生活場所を明確に区分けすることや、水回り設備の設置、水が染み込まない壁や床などの設備など、衛生基準を満たした施設を整備して営業許可を取得することが必要になった。
改正前からの製造者は、今年5月末までは経過措置で販売を継続できるが、それ以降は営業許可がないと販売できなくなる。
現在、全国各地の道の駅や産直市などで、地域の味として売られる漬物の多くが、農家をはじめとした個人による少量生産で、自宅の台所や納戸などで作られている。
さらに、漬物の作り手の多くは高齢者だ。そのため「営業許可に必要となる設備投資をしてまでは続けられない」として、製造や販売をやめる動きが全国的に広がっている。
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