道の駅から「おばあちゃんの味」が消える深刻事情 「いったいどうすれば」困惑する生産者たちの声

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JA高知県が運営する「JAファーマーズマーケットとさのさと」の担当者も、法改正によって「今後、個人で作っている人は、作り続けるのがどうしても難しくなる」とため息をつく。

同店は、農家が作ったものを委託販売する直販所。商品には生産者名も明記されるため、「あの人の漬物が好き」と名指しで買いにくる客も多い。

「昔からずっと作り続けているお年寄りのなかには、作ることが生きがいになっている人もいる。製造のハードルを上げたら、作りたくても作れない人が出てくるし、古くから続く味が消えてしまうのも寂しい」(担当者)

手作り漬物
「JAファーマーズマーケットとさのさと」の漬物(写真:筆者撮影)

「作り続けたい」は1割未満

燻製干しのたくあん漬け「いぶりがっこ」の産地としても知られる、秋田県横手市が2021年、漬物生産者158人を対象にアンケートを行ったところ、法改正の完全施行後も漬物を作り続けたい人は10人と、全体の1割未満にとどまった。

市は、このままでは産業としてはもちろんのこと、地域で受け継がれてきた大切な食文化が途絶えてしまうと、強い危機感を抱いたという。

「いぶりがっこの作り手は、60代が若手といわれるほど高齢者が多い。そのため設備投資をしてまで続けられないというのはもちろん、営業許可制に伴う細かい書類の申請もハードルが高い。漬物作りをやめる人の半分は、お金云々の問題だけではなく、年齢としての潮時と考えて“これを機にやめる”という選択をしている印象です」(秋田県横手市食農推進課) 

燻製干しのたくあん漬けとして知られる「いぶりがっこ」が、雪深い秋田の風土が生み出した知恵の産物でもあるように、漬物は、各地の気候風土と密接に関わっており、地域ごとに特色が異なる。

食品工場で作られた均一的な味とは違う魅力と個性があり、その地域ならではの味を求めて客がやってくる。長年、漬物を作り続けてきた人は、漬物作りが生きがいや楽しみになっている人も多いはずだ。

それが奪われかねない事態になっているのは、なぜなのか。次回で背景を掘り下げる。

【後編:80歳女性の「生きがい」を奪う"食品衛生法の問題"

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松岡 かすみ フリーランス記者

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まつおかかすみ / Kasumi Matsuoka

1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、出版社勤務を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。著書『ルポ 出稼ぎ日本人風俗嬢』(朝日新書)

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