津波浸水対策は万全か、動きだす災害拠点病院

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ゴルフ場跡地に白羽の矢 市立病院統合で経費圧縮

もともと新市立病院は、築30年前後の老朽化した二つの病院を早期に新築すべきとの首長同士の方針で、8カ所の候補地の中から決められたものだ。農地を転用するには時間がかかるため、売りに出ていた菖蒲ヶ池ゴルフクラブに、白羽の矢を立てた。掛川市土地開発公社がクラブの運営会社と交渉し、売買契約を09年3月に締結。会員預託金は返還され、円満に閉鎖された。

総工費225億円の内訳を見ると、土地購入費が約15億円、工事費が約130億円、医療機器・情報システム整備費が約70億円など。両市の年間予算から30年間で元本を毎期償還し、利息分は病院の年間収支から支払う算段だ。ゴルフ場跡で地盤はしっかりしているうえ、海抜62メートルの高台にあるから、津波対策にもかなっている。こうした市立病院の新築・統合で、懸案の医師不足解消と経費圧縮を図り、高度な医療サービスを市民に提供できると踏む。

もっとも医療施設が増築する場合、同じ敷地内がほとんど。低地に立つが移転できない施設は、津波・浸水の被害と向き合わねばならない。新市立病院を手掛けた久米設計の柳雅夫・統括部長は「1階にリハビリや健診施設、駐車場など必要不可欠といえない機能を配置する考え方もある」とアドバイスする。

いつ起こるかも知れない浸水被害には、早急な対策が必要なのだ。

(古庄英一 =週刊東洋経済2011年7月23日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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