津波浸水対策は万全か、動きだす災害拠点病院

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浸水区域に基幹病院が! もう国の対応は待てない

元消防研究センター所長の室崎益輝・関西学院大学教授は、「自力で逃げ切れない人が多い病院は河川の氾濫、急傾斜地の崩落など、危険と隣り合わせ。国の財政支援を手厚くし、安全な場所に最優先で移転させるべき」と提唱する。もっとも「国の対応を待てない自治体は、今ある計画に示された倍の津波が来ると想定、見切り発車で防災対策見直しに着手した」(室崎教授)のも事実だ。

たとえば八つの災害拠点病院がある和歌山県。県立医科大学附属病院や有田市立病院など、4カ所が海沿いに位置し、津波のリスクを抱える。「設備更新を実施しており、建て替える計画はない。現在の場所で電気系統を2階に上げるなど、リスク軽減策を最重点で講じる」(県医務課)。

また静岡県では、3月15日に最大震度6強の地震が発生、来たるべき東海地震の恐怖にさらされた。医療施設の耐震性ではおおむね問題ないものの、岩手県宮古市ほか被災地の応援に駆け付けた結果、医師不足が慢性化する過疎地の実情を肌で知った。「医療救護計画は変えるし、医療施設にはマニュアルを書き直してもらう」(県地域医療課)と、まずはソフト面の対策に力点を置いている。

実際に静岡県西部では、東北の被災地が目指す復興モデルになりそうな、格好のケースもある。

7月30日、掛川市と袋井市の共同で計画した新市立病院が、起工式を迎える。場所は、政府の要請で稼働停止した中部電力浜岡原子力発電所から、半径約20キロメートルの距離。大震災で課題となった浄水やトイレ、エネルギーのバックアップ設備など、BCP(事業継続計画)に基づく災害拠点病院としての機能が、ふんだんに盛り込まれた。平常時500床ながら、災害時はその2倍弱の入院患者を受け入れられる設計で、13年春の開院を目指すという。

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