テレビ大量廃棄の闇、ブラウン管はどこへ--形骸化した家電リサイクル

テレビ大量廃棄の闇、ブラウン管はどこへ--形骸化した家電リサイクル

「少し落ち着いてきたが、それでもブラウン管テレビの在庫は、2カ月先まで積み上がっている」

関東にある廃家電のリサイクル工場は今、地上デジタル放送への完全移行で、かつてない繁忙期を迎えている。

地デジ特需で売れに売れた薄型デジタルテレビ。その一方で大量に廃棄されたアナログテレビについては、こうした全国にあるリサイクル工場がフル稼働で対応している。

だが、聞こえてくるのはうれしい悲鳴ばかりではない。特にブラウン管テレビのリサイクル工場では手作業で分解する工程があり、作業効率を上げるのが難しい。さらに、「3カ月以内に処理するよう国に要求されている」(リサイクル業者)ため、作業員と作業時間を最大限に増やして何とか応えている状態だ。

解体後のブラウン管は多くがマレーシアへ

「ポスト地デジ」も大きな問題となって浮上してきた。9月以降はブラウン管リサイクル専用工場の稼働率が落ちてくるのは確実で、業界全体で人員整理が進むとみられる。液晶テレビなどブラウン管以外の解体工場への更改もありうるが、コストもかかるため、体力のない中小の工場は閉鎖に追い込まれるだろう。

また、大半のリサイクル業者が、「テレビ1台2700円(16型以上)のリサイクル料金では赤字」の状態。「リサイクル料金でなく、その後の資材輸出で儲けるしかない」と口をそろえる。

その最大輸出先がマレーシアだ。世界でも数少なくなったブラウン管テレビ工場が残る。世界は薄型テレビ全盛だが、ブラウン管テレビの需要もいまだ発展途上国などで根強い。マレーシアの工場ではブラウン管を再び組み立て、生まれ変わった新製品を販売している。分解後のブラウン管には鉛が多量に含まれるため、ブラウン管テレビ以外の転用が難しい。そのため、この工場が業者にとっては最後の砦ともいえる。

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