投資家には魅力的か? コメ先物市場の前途
はたして売買は活発化するか。東京穀物商品取引所と関西商品取引所が、8月8日にもコメの先物取引を開始する見通しとなった。
コメ先物取引とは、将来のコメの取引価格や数量をあらかじめ約束する商品取引だ。国内では72年ぶりの復活。2年間は試験的な上場で本格的な再開の可否を判断する。
試験上場をめぐっては、取引所やコメ卸業界が推進する一方、農協が「国の政策と整合性を保てない」と反発してきた経緯がある。農林水産省は、自民党政権時にはコメ価格維持を目的に導入された減反政策と、市場価格の導入とは整合性が取れないとし、試験上場を認めなかった。が、民主党への政権交代で戸別所得補償制度に移行、「価格維持から所得維持に転換した」との理由で認可に転じた。
「最大のメリットはコメ価格の変動リスクをヘッジできること」。コメ卸団体の全国米穀販売事業共済協同組合の石原一郎常務理事は語る。
現在、コメの現物取引には市場が存在せずに、相対で取引される。中でもコメ生産の約6割を占める、全国農業協同組合連合会(全農)グループの相対価格の影響が大きい。
しかし、全農の相対価格が在庫調整などで比較的安定している一方、売買の規模が小さい卸売業者間の価格は需給の変動で動きやすい。価格変動リスクのヘッジ機能への期待が高いわけだ。さらにコメの現物市場だったコメ価格センターが3月末に解散したことで、新たな価格指標形成の場も求められていた。
ただし、前提となる活発な売買が行われるかは、まだ不透明だ。農協はすでに「不参加」を表明し、流動性確保のために重要な一般投資家の取引参加にもハードルがある。