マクドナルド新型クーポン1000万人配信のウラを読む《それゆけ!カナモリさん》

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 また、ハレ(非日常)とケ(日常)のマーケティングを駆使しているのも特徴だ。原田社長が2004年に着任して最初に手を付けたのは、QSC(Quality, Service, Cleanliness)の向上。簡単に言えば、「お客様に気持ち良く美味しいものを食べてもらう」こと。クオーターパウンダーやBig Americaシリーズなど、ハレのマーケティングがどうしても目立つが、ケのマーケティングがしっかり構築されており、ハレ⇔ケのグッドサイクルが回っていることを忘れてはいけない。

デフレ下の外食産業で独り勝ち状態の原田マクドナルド。もはや、「ハンバーガー業界の王者」であるだけでなく、「1000円以下のカジュアル外食のリーダー」企業であらんとして戦っている。そして、事実、チキンメニューではシェアNo.1となっている。

しかし、決定的な弱みがある。同社が、「日本」マクドナルドであることだ。

■カスタマイズクーポンの背景、可能性とは…

 200円台前半まで低価格競争が進んだ牛丼業界では、戦いの場を中国にも拡大している。吉野家のホームページに以下のような記述がある。「2010年末、吉野家の海外店舗は全体で439店舗、なかでも香港を含む中国が261店舗と半分以上を占めます。中国においては速やかに1000店舗を達成することが当面の目標です」。すき家を運営するゼンショーも中国進出に力を入れはじめた。

牛丼チェーンの狙いは明らかだ。人口の縮小が加速化する日本市場より魅力的な中国市場を拡大する。しかも、北京の吉野家では牛丼並盛が13.5元(日本円にして約190円)という現地としては高価格で販売されている。利益の出ない価格で限られたパイを奪い合う日本での戦いとは大きく様相が異なる。

日本マクドナルドの営業エリアは日本市場に限られる。外食産業総合調査研究センターによると、2008年の国内外食市場は前年比0.5%減の24兆4315億円と、ピークの1997年から16%も縮小している。市場の縮小を前提とした戦略を立てねばならない。戦略の基本としている「売上=客数×客単価」の客数、新規顧客の伸びはもはや期待できない。「(のべ)客数=顧客数×利用回数」「客単価=商品単価×注文数」にもう一段階分解して展開を考え、その方策として利用回数と注文数を増す、「一人ひとりに最適化されたクーポン」を配信するのではないだろうか。

 

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