ChatGPTがまさかの「物理的作業」に進出の衝撃 倉庫や工場、自動運転を想定した働きを学習中
2億2200万ドルの資金に支えられたコバリアントは、ロボットそのものをつくっているわけではない。つくっているのは、ロボットを動かすソフトウェアだ。
同社は、倉庫の中で使われるロボットに新たな技術を導入し、製造工場での同様の取り組みに向けたロードマップを提供することを目指している。自動運転車に導入し道路上で活用することも、おそらく視野に入っている。
カリフォルニア大学バークレー校の教授ピーター・アビールと、元教え子のピーター・チェン、ロッキー・デュアン、ティエンハオ・ジャンが設立したコバリアントは、世界中で倉庫仕分けロボットの運用を支援している。同社は何年もかけて、こうしたロボットがどのように動作するかを示すデータをカメラやセンサーから収集してきた
「ロボットにとって意味のある、あらゆる種類のデータを取り込んでいる。ロボットが物理的な世界を理解し、物理的な世界に関与するのに役立つデータだ」と、チェン。
知らない状況にも対処できるロボット
コバリアントはそうしたデータを、チャットGPTをはじめとするチャットボットの訓練に用いる膨大な量のテキストと組み合わせることで、周囲の世界について従来よりもずっと広範な理解力をロボットに与えるAI技術を生み出した。
そのテクノロジーは、寄せ集めの画像、知覚データ、テキストの中にパターンを見いだし、現実世界の予期せぬ状況に対処する能力をロボットに与える。それにより、バナナを見たことがなかったとしても、ロボットはバナナのつかみ方を知っている、といった状況が生まれる。
さらに、チャットボットと同様に普通の言葉に反応できるようにもなる。「バナナをとって」と言えば、ロボットはその意味を理解する。「黄色い果物をとって」と言っても、意味は通じる。
バナナを持ち上げるときに起こることを予測する動画も生成できる。倉庫ではこうした動画の具体的な活用法はないが、ロボットが周囲の状況をどのように理解しているかを把握できるようになる。
「動画の次のコマを予測できれば、適切な方策の特定が可能になる」と、アビールは説明する。