ChatGPTがまさかの「物理的作業」に進出の衝撃 倉庫や工場、自動運転を想定した働きを学習中

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RFM(ロボット工学の基盤モデル)と呼ばれるこのテクノロジーは、チャットボットと同様にミスを犯す。多くの場合は人間の指示を理解するが、理解しない可能性は常にある。ときには、ものを落としたりもする。

AI起業家でニューヨーク大学名誉教授(心理学・神経科学)のゲイリー・マーカスは、ミスが許される倉庫などでは有用な技術になり得ると話す。ただ、工場や危険が伴う場所での活用は難しく、リスクも大きいと指摘する。

「間違ったときのコストが問題になるということだ。重量のあるロボットが問題を起こす可能性のある場所では、ミスの代償は大きなものになりかねない」

企業が一段と大量かつ多様なデータでトレーニングするようになれば、この種のAIの改善は急速に進むと、研究者たちは考えている。

従来の産業用ロボットとの「決定的違い」

これは過去のロボットの働き方とは大きく異なる。これまでは、決められた動作を正確に繰り返すようエンジニアがロボットにプログラムするのが普通だった。

決まったサイズの箱を持ち上げるとか、車のリアバンパーの決まった場所にリベットを取り付けるといったことだ。ロボットは想定外の事態や偶発的な状況には対処できなかった。

だが、物理的な世界で起こることの大量の事例をデジタルデータとして学習することで、ロボットは想定外の事態に対応できるようになっていく。そして、こういった事例を言葉と組み合わせれば、ロボットはチャットボットと同様にテキストや音声に応答することも可能となる。

要するに、チャットボットや画像生成システムと同じく、ロボットも一段と機転が利く存在になっていくということだ。

「デジタルデータの中にあるものは、現実世界に移行できる」と、チェンは言う。

(執筆:Cade Metz記者)

(C)2024 The New York Times

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