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世界最悪「有毒ガス事故」から日本が学ぶべき倫理 アメリカ企業がインドで起こした悲劇の根本

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  • 村松 聡 早稲田大学文学学術院文化構想学部教授
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なぜ貯蔵タンクに水が混入したのか。未熟な技術者による水を使ったパイプの洗浄によるミスから、意図的な混入まで諸説あって、正確にはわかっていない。

危機管理対策にも問題があった。工場には不測の事態に備えて被害を抑える防御システムがあったが、事故当時、経費削減のため作動していない。イソシアン酸メチルを冷却し気化を防ぐ冷却システムは1982年以来操業停止していて、高温を知らせる警報は取り外されていた。

ガスを中和するために作られたガス浄化装置は待機モードになっていて、休止中。イソシアン酸メチルがガスとなった場合に焼却処分するフレア・タワー(燃焼塔)は、点検のため連結パイプを外されている。

安全のための訓練も久しく行われていなかった。本国アメリカであれば毎年行われる安全監査も行われていない。また、インド人従業員の多くは英語ができないにもかかわらず、英語の作業マニュアルの使用を求められていたらしい。

工場内と公共用の警報は連結されていなかった

警報にも問題があった。警報は2種類あり、1つは工場内の警報、もう1つはボパール市へ警報する公共用であったが、2つは連結されていない。会社内の警報のおかげで社員は避難している。一方、ボパール市民のほとんどは、ガスについて知らされず、ガスが近隣一帯を直撃した。

これが、技術者倫理の教科書で必ず取り上げられるボパールの化学工場事故の概要である。ボパールで起きた事故は、事故発生時の安全対策の不備やずさんな危機管理体制など、東日本大震災でおきた津波による原子力発電所のメルトダウンを想起させるかもしれない。しかし取り上げられる問題の観点は異なる。

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