イオン、24年問題対応を超えた「物流改革」構想 物流責任者が次世代物流構想のすべてを語った

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ーー2030年には2019年比で34%もの輸送力が不足するという予測もあります。

まだ改善の余地はある。現在のイオンは2000年代前半に構築された物流網をいまだに使い続けている。2024年問題対応の一方で、中長期的に物流の構造全体を作り直さなければならない。2030年をターゲットにプロジェクトを進めているところだ。

「総合スーパーにとって最適な物流」から脱却

ーー既存の物流網が時代にそぐわなくなってきたということですか。

そうだ。2000年代に整備された現在の物流は当時のイオン、つまり大箱の総合スーパー(GMS)業態にとって最適な物流網だった。そこから20年あまりが経ち、事業の主役は中小型の食品スーパーやドラッグストアとなった。さらに「まいばすけっと」のような超小型店など、業態構成が多様化してきている。

てづか・だいすけ:1975年生まれ。2002年9月イオンクレジットサービス入社。イオンの戦略部長や傘下のユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス代表取締役副社長等を経て、2021年3月よりイオンの物流担当。2022年3月からはイオンの執行役、物流機能子会社の社長も兼ねる(写真:イオン提供)

テクノロジーの進化にも追いつかないといけない。アナログ技術が中心の日本のスーパー業界に対し、アマゾンなどのECプレイヤーは倉庫の自動化やデータ活用などを進め、物流を進化させてきている。

こうしたビジネスモデルの変化やテクノロジーレベルの発展に合わせて、もう一度現在、そして2030年以降の戦略にあった物流網に構築し直したい。

ーー物流センターなどインフラを再構築するということでしょうか。

インフラへの投資には取り組んでいく。まずは機能再編だ。GMS中心から中小型店中心に切り替わってきたことで、店舗当たりの物量は減る一方、全体に占める食品の比率が大きく増えている。食品はリードタイム(発注確定から納品までの時間)が短く、温度管理や衝撃への対応など取り扱いが難しい。業態や商品の構成の変化に合わせて、各物流センターの物理的な場所や機能についても再設計する必要がある。

倉庫内業務の自動化にも取り組む。物流の人手不足はドライバーだけではない。昨年10月には工場や倉庫のロボット制御に知見を持つベンチャー、Mujinとパートナーシップを締結した。2026年までをメドにロボットとデータを活用した「次世代自動化モデルセンター」づくりに着手する。

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