著者のワトソン氏といえば、昨年末にノーベル賞のメダルを競売にかけた当事者としてニュースに登場したことを思い起こす読者も少なくないかもしれない。DNAの立体構造を発見したとして、二人の学者とともに1962年にノーベル賞を受賞。その後、ほぼ半世紀にわたり、毀誉褒貶(きよほうへん)が尽きない人物としてメディアで扱われてきた。
本書の旧版が翻訳されたのが1968年。それに多数の資料写真、関係者間で交わされた書簡、研究結果を記したノートの図版、そして「幻の章」などを収録した完全版だけに、ライバルの猛追をかわし、生物学の常識を大幅に書き換えた科学者たちの野心と情熱がより赤裸々に披瀝される。
生命の本質という究極の問いに肉薄し、通念を覆す答えをもぎ取った人物は「自称」どういう男だったのか。DNAの立体構造はどのように発見されたのか。ノーベル賞受賞までのリアルなストーリーに仕上がっている。
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