チョコザップ「将来目標1万店」の裏にある現実 「安かろう悪かろう」への転落回避の正念場

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出店攻勢に再び転じるのは2024年度に入ってからとなる。2027年3月には現在の約3倍に当たる3800店にする計画だ。

到達時期は明記しなかったが、「1万店舗以上」という目標も対外的に示している。単純比較ができないとはいえ、これはコンビニで約1万4600店あるローソンに近い規模になる。

プライム市場の上場なるか

大量出店を目指す中、ライザップの大株主でもある瀬戸社長は身銭を切って会社の資本増強を進めている。

3月7日、ライザップは瀬戸社長が保有する約2775万株を立会外分売で売却すると発表した。発行済み株式の約5%に当たる株が証券取引所の取引時間外に売り出されるわけだ。売却価格は3月14日の終値などで決められる(3月15~19日に分売予定)。

瀬戸社長は今回の売却で得た資金を昨年取得した新株予約権の行使にすべて回す。すでに自身の資産管理会社を通じた劣後ローンで、計100億円をライザップに融資。チョコザップの大量出店で資金が必要なライザップの財務安定化のために身銭を切っている。

ライザップの瀬戸社長。チョコザップ「1万店舗以上」を目標に掲げ、身銭を切って出店を加速させる(撮影:今井康一)

この立会外分売の発表文には、「東証プライム市場への新規上場申請に向けた準備に着手している」との文言があった。2006年に上場した札幌証券取引所アンビシャス市場からの「卒業」は、個人投資家が長年待望してきただけに公言した意味は大きい。

その成否はチョコザップにかかっている。「安かろう悪かろう」ではなく、会員が満足できるサービスとして定着しなければ「1万店舗以上」の目標もただの夢。瀬戸社長自身が述べたように、「登山に例えると今はやっと入り口」だ。

緒方 欽一 東洋経済 記者

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おがた きんいち / Kinichi Ogata

「東洋経済ニュース編集部」の編集者兼記者。消費者金融業界の業界紙、『週刊エコノミスト』編集部を経て現職。「危ない金融商品」や「危うい投資」といったテーマを継続的に取材。好物はお好み焼きと丸ぼうろとなし。

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