チョコザップ「将来目標1万店」の裏にある現実 「安かろう悪かろう」への転落回避の正念場
ライザップによると、店舗設置のマシン総台数に対する故障台数の比率は3月時点で約1%。利用はできるが不具合が生じている台数の比率は2.7%だ。故障率については一時期5%を超えていたというので改善は進んでいるといえる。しかし利用会員の体感はまた別ではないか。
「故障している機械を早く修理して」「利用したくてもできません」――。SNS上では器具の故障に対する不満が散見される。ライザップの瀬戸健社長はこの状況をどう認識しているのか。
「マシンが動く、使えることは最低限必要なこと」。東洋経済の取材に瀬戸社長はそう認める。そのうえでチョコザップの運営は「まだ試行錯誤の段階」と話す。
チョコザップは常駐スタッフがいない無人店だ。そのため普段はAI(人工知能)カメラなどを用いて遠隔で監視・コントロールしている。
しかし現時点において、「マシンは動いていてもあまり動かせない。もしくは人が無理やり動かしている」といった細かい状況までは把握できないという。店舗に赴いて確認すると「コンセントが抜けていただけ」ということも多いそうだ。
1月以降は出店を抑え環境改善に軸足
無人店だからこそ起きる問題といえるが、瀬戸社長は「『人ありき』ではなくシステムとハードで制御するほうが想定外のことは起きない」と語る。
有人店で多店舗展開すると、サービス品質を一定水準に保つには店舗スタッフの能力に依存する部分が大きいと考える。人材の確保や教育も必須だ。それよりも無人のほうが安定した運営ができると瀬戸社長は主張する。
2023年度計画で約890店増という出店スピードも、「有人店だったら無理だった」(瀬戸社長)。
故障の特定をどのように行い、どう素早く対処するか。人が行っていたことをいかにデジタル技術で代替していくか。それを試行錯誤しながら進めているという。
チョコザップは走りながら検証・改善を繰り返す事業スタイルをとる。しかし出店や話題づくりだけが先行していてはサービスへの信頼すら揺らぐ。さすがに今年1月以降は出店を抑制。マシンの故障を含めて店舗内環境の改善に力を振り向けることにした。
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