IT企業から独立したエンジニアに起きた「悲劇」 フリーランスには様々なリスクがつきまとう

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その後、月々の売上金額は会社員時代の月収を大きく上回ることができ、Aさんは「やっぱり独立してよかった」と自信を深めました。

最初の年は経費、外注先への支払いがありますが、それ以外の税金などの支払いは特にありませんから、会社員時代のように手元に残ったお金がすべて使えてしまう感覚にとらわれます。

そこに何となく税金対策として聞いていた「経費を使ったほうが所得税は少なくなる」という考えにかられ、派手に飲食代などに使っていました。

問題は翌年3月の確定申告の後です。この確定申告で、初めて昨年はいくらの儲けがあっていくらの税金を納めなければならないのかがわかります。

日常の生活費は「経費」にはなりませんから、計算上の儲けとそれに連なる納めなければならなくなる所得税と、思いのほか減っていた手元の預金残高を見て愕然となります。

さらに愕然とすることは続きます。自動車を購入していたAさんは5月には自動車税があり、6月には住民税と国民健康保険料の納入通知書が届きました。

前年に稼げば稼ぐほどこれらの出費が多くなります。

こうして、Aさんは支払いに奔走する日々に追われることになってしまいました。

フリーランスは毎月のように税金の支払いがある

会社に守られている会社員に比べ、フリーランス、自営業の人は「保障」がほとんどないので、自分で自分の身を守らなければなりません。

会社員は税金類が天引きされたものが給料として振り込まれるので、極端な話、次の給料日まで全部使ってしまっても実質的には問題ありません。

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