野菜不足で「がんになる人」ほとんどいない真実 加えてストレスでがんになる人もほとんどいない

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喫煙は、要因の15.2%です。タバコが原因で起こるがんはとても多く、肺がん、食道がん、口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、胃がんなどがあります。今からでも禁煙すれば肺がんのリスクは下がるとされています。お酒も要因の6.2%で、多量に飲むと、肝臓がんを引き起こすリスクになるといえます。

「がん家系」「遺伝」というのも誤解

また世間でよく言われる「がん家系」という遺伝についても誤解が多いです。

乳がんや卵巣がん、大腸がんの一部など、遺伝的要因で起こるがんは、あることはあるのですが、発生確率としてはとても少ないのが実情です。ですから、自分の親族にがんが多いからがん家系だとか、遺伝だとかは、一概に言えません。

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高齢化するほどがんが増えていくので、なんとなく親族にがんが多いと感じてしまうのかもしれません。

私は「生活習慣病」という言葉をやめてほしいと思っています。もし、生活習慣について言うなら、「一部の生活習慣が原因となって発症する確率が高まるがんもある」というのが正しい表現です。

タバコ以外の要因で、過去の生活習慣やストレスでがんになったと、ご自分を責めるようなことだけはやめてほしいと思います。

がんになったのは、決してその方の生き方が悪かったからではないのです

勝俣 範之 日本医科大学武蔵小杉病院腫瘍内科教授、部長、外来化学療法室室長

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かつまた・のりゆき / Noriyuki Katsumata

1963年山梨県富士吉田市生まれ。富山医科薬科大学(現富山大学)医学部卒業後、国立がんセンター中央病院内科レジデント、内科スタッフ。国立がんセンター医長などを経て、2011年より現職。あらゆる部位のがんを診られる「腫瘍内科」の立ち上げは、当時の日本では画期的であった。国内における臨床試験と抗がん剤治療のパイオニアの1人。2022年、医師主導webメディア「Lumedia(ルメディア)」を設立、スーパーバイザーを務める。日本臨床腫瘍学会指導医、日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医。

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