「解像度」が高まる"具体化思考トレーニング" 似たもの同士を比べて違いを問う

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羽田空港の書店を訪れるのはどんな人でしょうか。まず、「来店頻度」という軸で見ると、毎日のように飛行機で全国を出張して回っているような人は例外として、基本的には、そう頻繁に訪れる人はいないと思われます。せいぜい1年に1回程度で、来店頻度は低いでしょう。

それに対して、新宿の書店の場合、訪れるのは新宿で働いている人とか、週末に新宿で人と会う予定があってそのついでに立ち寄る人などで、来店頻度はそれだけ高くなります。つまり、来店頻度という軸から「空港=一見客」「繁華街=常連客」という違いが見えてきます。

来店目的や場所にあわせて変化する購買意識

「来店目的」という軸で見ると、羽田空港の場合、書店に行くためにわざわざ空港まで足を運ぶ人はそうそういないでしょう。空港を利用する人が「飛行機の時刻までの時間つぶし」「フライト中の時間つぶし」に読む本を探すためというのが目的になると思われます。

一方、新宿の場合、時間つぶしのためというパターンも考えられますが、それ以外にも実用目的の本とか話題の新刊など、欲しい本や雑誌を買うという「明確な目的」で来店するパターンも多いでしょう。ここから「空港=時間つぶし」「繁華街=目的志向」という違いが読み取れます。

「品揃え」という軸で見ると、羽田空港の書店はスペースも狭いですし、各カテゴリの本を揃えるよりは、売れ筋の本を中心に陳列するなどして売り場をつくっています。

新宿には書店もいろいろありますが、特に紀伊國屋書店は1階から8階まで総面積約1500坪という大型店舗で、専門書も含めて各カテゴリを網羅した品揃えです。ここから読み取れる違いが「空港=衝動買い」「繁華街=計画的」です。

また、この「衝動買い」という心理についてもう少し考えていくと、空港という場所には「衝動買い」を後押しする要因があります。つまり、空港へ行くのは何のためかと言えば、出張や帰省などもあるでしょうが、旅行目的のこともあります。

旅行に出ると、誰しもが開放的な気分になり、財布のひももゆるみがちです。普段なら絶対に買わないようなものでも、旅先では思わず買ってしまう。なぜかと言えば、いつもの日常から離れた環境にあるからです。

空港のテナントには、高級ファッションやブランド品のショップも入っていますが、それもこうしたお客の「衝動買い」の心理に着目した出店戦略です。この心理は、本も同じ。普段、繁華街の書店で見かけても手に取らないような本を、空港の書店でなら思わず購入してしまうこともあります。すなわち、「空港=非日常」「繁華街=日常」という図式です。

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