ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2--マーケティング手法の活用がヒットの秘訣《宿輪純一のシネマ経済学》

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 ハリー・ポッターの連作は、1作目から基本的な構成は変わっていない。物語の最初は、両親が死んで親戚の家に預けられたハリー・ポッター少年。ヨーロッパのおとぎ話のお約束に従って物置部屋をあてがわれ、こき使われる。そんなとき11歳の誕生日に一通の手紙が届いた。それはホグワーツ魔法魔術学校の入学許可証。ハリーの両親は優秀な魔法使いだった。電車に飛び乗り魔法魔術学校に入学し、ロンとハーマイオニーという友達もできる。

今回の『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』であるが、毎度の3人:ハリー(ダニエル・ラドクリフ)は親友のロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)らとともに旅に出ることになる。それは長年の宿敵ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)抹殺の手掛かりとなる“分霊箱”を探すためである。

しかし、魔法省やホグワーツ魔法魔術学校が、次々と死喰い人の傘下に入っていくという非常事態。ハリーと宿敵ヴォルデモート卿の決戦で、魔法界全体を二分する戦いの火ぶたが切って落とされることとなる。また、シリーズ“初”の試みとなる全編3D映像は見逃せない。


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このハリー・ポッター・シリーズは作者もたまに言っていたが、欧州をはじめとしたおとぎ話(ファンタジー)、英雄伝説(サーガ)、魔法使い・魔女の話をほとんどすべて読んで、参考にした。だから必然的に『指輪物語』(映画は『ロード・オブ・ザ・リング』)や『ナル二ア国物語』など他のファンタジーと似たところが出てくる。この手法はハリウッドでも使われていて『スターウォーズ』シリーズも、同様に世界中のおとぎ話や神話、英雄譚を参考にした。

さらに、最近の映画では、顧客の反応がよい展開も探られて、もっともウケる展開が物語にされる。これは、米国のアニメでよく使われるやり方である。主人公は最後には幸せになるが、最初は大変つらい目に遭って、恋人にも振られそうになり、強力なライバルがひどいことをして……などなどである。

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