世界株高から置き去り「沈む中国株」の根本要因 権力集中が招いた苦境、トランプ勝利でどうなる?

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習近平氏は経済よりも権力集中を優先しており、この流れが現在に至るまで継続している。2023年には国内で反スパイ法が改定され、曖昧な法解釈による逮捕事例が続出。G7各国は駐在員を削減、新規投資を手控え、出資を引き上げるという動きに繋がっている。これがいわゆる脱チャイナ、中国リスク低減(デリスキング)の流れである。それが累積し、今になって猛烈な中国からの資金流出に繋がっているのだ(下グラフ参照)。

したがって、中国で安心して事業や投資が行える環境にならない限り、この流れを本格的に変えるのは難しい。それには習近平氏の退任が必要であり、その日が来るまでは本格的な中国への投資再開とはならないだろう。

バイデン大統領就任後、中国株はふるわず

しかし外的要因に目を向けると、現状を好転させる材料がないわけではない。それが2024年11月のアメリカ大統領選挙である。一般にはトランプ元大統領が再選すると対中政策が厳しくなると見られているようだが、筆者はそうは思っていない。トランプ元大統領が再選すると対中政策は緩和的になると見ている。

むしろ、バイデン現大統領は「人権問題」を前面に出し、アメリカから離れかけていたEUと日本を味方に戻すことに成功している。人権問題を大切にする姿勢など、バイデン大統領の「先進国としてのあるべき論」を重視する政策は、少なくともEUと日本の知識層に好まれている。

冒頭の株価指数のチャートを2020年1月からとしたのは、パンデミックの影響や、2020年6月の香港国家安全維持法の施行による影響に加え、バイデン大統領就任(2021年1月20日)後の値動きをご紹介したいという理由からだ。中国の株価指数の動きを見ても、バイデン大統領就任以降はふるわないことが明らかだ。

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