介護施設の再建を阻む震災と債務の二重苦

介護施設の再建を阻む震災と債務の二重苦

東日本大震災では、特別養護老人ホームや認知症高齢者グループホームなど介護施設の多くが被災した。宮城県の調べによれば、県内で水没、焼失、全壊または浸水した高齢者入所施設は38に上り、312人の入所者が死亡または行方不明になった。福島県では、東京電力福島第一原子力発電所の事故をきっかけに介護施設の閉鎖や避難が相次ぎ、現在も多くの高齢者が、県内内陸部や他県などで避難生活を余儀なくされている。

こうした中、介護施設を運営する事業者を苦しめているのが、債務返済の問題だ。今まであった施設が津波で流失・全壊した一方、銀行からの借入金やリース債務だけが残るという事態が発生。福島県でも、原発事故で施設を休止、または避難した介護事業者が、東電からの賠償金の支払いもないまま、既存施設の借入金返済に追われている。

グループホーム対象の補助金がなぜか対象外

宮城県仙台市で二つの認知症グループホームを運営するリブレ(蓬田隆子社長)では、「グループホームなつぎ埜」(若林区)が津波で全壊。現在、高齢者11人を、被害がなかった「グループホームよもぎ埜」(宮城野区)で受け入れている。

同市では震災前からグループホームのニーズが高く、震災後にはさらに入居希望者が増加。こうした中、蓬田氏が会長を務める東北ブロック認知症グループホーム連合会などによる国や県、市への働きかけが奏功。なつぎ埜の再開に際しても、JR東北本線・長町駅から程近い仮設住宅群の一角に、仮設のグループホームを建設する計画が実現。7月末の完成を目指して、内装工事が進められている。

仮設ホームが完成すれば、認知症を持つ高齢者の住まいを確保できる一方、施設職員の雇用も維持できる。ただ、仮設ホームの建設費は全額、国や県が負担するが、介護用ベッドの購入費やコンピュータなど施設運営で必要な備品類は、補助金で全額を賄うことができない。そのうえ、津波で使用不能となった既存施設の債務が大きな問題として、のしかかっている。

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