"灘&開帝"新旧「超進学校の男子校生の実態」対談 灘・暁星・筑駒…有名校の取材でわかった実態

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田内:だから、心の中では共学がうらやましいなと思っていました。今は結婚することができましたが、大学に入りたてくらいまでは、自分は女性と付き合えるのか、結婚できるのかどうかを不安に思っていましたね。

凹沢:田内さんもこじらせ男子だった時期があるのですね(笑)。

「フリ」と「オチ」、セリフ量のバランスを考えた構成

田内:もう1つ、凹沢さんの作品を読んで、本当に素晴らしいと思うことがありまして……。とにかく読みやすいんですよ。なんでだろうと読み返して驚いたんですが、どのページも最後のコマに、ページをめくりたくなる「引き」を作っているんです。

たとえば1話目を見てみると、1ページ目では、どんな超進学校なのか興味を持たせ、2ページ目の終わりでは、「他人の青春のダシに使われてる」という馴染みのないセリフで読者の興味を引きつける。そして3ページ目の最後に、“「反撃」するぞ!”という強いセリフを持ってきて、次のページの展開を期待させるんです。

リズムがとてもいいなと思いました。今の時代、SNSでもプレゼンでも、相手に伝える力が必要になっています。わかりやすく伝えることも大事ですが、相手に興味を持たせる表現力も大事だと思っています。その点ですごいと思いました。

凹沢:毎回「フリ」と「オチ」を考えて構成を練っているのですが、苦労している部分に気づいていただけて嬉しいです。

私は普段すごく早口なんですけど、その感じが漫画にも出ていて、読むのをやめる隙を与えないように、ボケを1〜2ページに必ず1つは入れるようにしています。ただ、1ページあたりのセリフ量が多くなると読みづらさにもつながるので、コマ割りの順番や、起承転結はしっかり意識しています。

田内:僕も「引き」を作ることをずっと意識していたんですが、これが本当に大変で……。

この小説を書くときに、カリスマ編集者の佐渡島庸平さんからもらったアドバイスは、「立ち読みを終わらせないこと」。プロローグで常に続きが気になる展開を作って、立ち読みを終わらせずに本編に入るまで読んでもらわないといけません。

そのために、文章を何度も何度も練り直しました。自分が苦労したことだから、凹沢さんの漫画のすごさがよくわかります。

凹沢:いつもできていて当たり前のことだと気を引き締めて描いているので、そこまで言っていただけてとても嬉しいです。

(構成:濱井正吾、後編に続く)

田内 学 お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

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たうち・まなぶ / Manabu Tauchi

お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家。2003年ゴールドマン・サックス証券入社。日本国債、円金利デリバティブなどの取引に従事。19年に退職後、執筆活動を始める。著書に『お金のむこうに人がいる』、高校の社会科教科書『公共』(共著)など。

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凹沢 みなみ 漫画家

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おうさわみなみ / Minami Osawa

「別冊マーガレット」で「かしこい男は恋しかしない」を連載中。

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