"灘&開帝"新旧「超進学校の男子校生の実態」対談 灘・暁星・筑駒…有名校の取材でわかった実態

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田内:未来を生きる自分の子どもが、暮らしやすい社会になってほしいと思ったんですよね。今の社会は多くの問題を抱えています。それを解決するには、当事者意識を持って取り組む人が増えないといけないんです。そのためにはなるべく多くの人に読んでもらえる形式にしたいと思いました。

興味がある人だけじゃなくて、興味がない人が読んでくれるようにして、100万部を売る書籍にする必要があると考えたときに、読みやすい小説にするしかないと思ったんです。

凹沢:そうだったのですね。田内さんの作品は、札束を雑に扱うとか、そういうキャラクターの細かい仕草に性格が出ていますし、本当に先を読ませようとする仕組みがすごいと思います。

田内:ありがとうございます。実は一度、原稿書き終えて、出版社にも「この話でいきましょう!」とOKをもらったのです。

ところが、ちょうどそのタイミングで、小説の編集者やっている灘高の友人と会うことがあって。そしたら、ストーリーも場面転換も引きももっとよくできると、話が膨らんだんですよね。

灘高生って一見、冷めている人が多いのですが、熱中できるもの見つけると急に仲間意識が芽生えて一緒に猛進していけるところもあるんですよ。彼は違う会社なのに編集協力してくれて、全部1から書き直すことにしたんです。一切妥協しないで作り上げました。

灘・暁星・筑駒……緻密な取材力

田内:私も凹沢さんの作品を読んで、素晴らしいと思うことばかりでして……。特に取材力がすごいと思いました。男子校のことをよくぞここまで詳しく調べているなと驚きましたね。

かしこい男は恋しかしない 1 (集英社ガールズコミックス)
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凹沢:ありがとうございます。私自身、地方の共学校出身で馴染みがなく大変でしたが、いろんな男子校を取材しに行って、キャラクターに落とし込んでいきました。

灘・暁星・筑駒・聖光学院・逗子開成・海城・東大寺学園・浅野などを回りましたね。いつも一緒に取材に同行してくださっている編集者も浅野高校の出身なので、男子校のカルチャーを把握しておられたことも作品を作る上で大きかったなと思います。

田内:最初、男子校に通う学生特有の感情の機微やこじらせ具合の表現があまりにも上手なので、作者さんが男子校出身の方ではないかと思ったほどです(笑)。

『かしこい男は恋しかしない』冒頭のシーン。男子校に通う主人公たちは、ただ道を歩いているだけで共学カップルの「青春のダシ」に使われ、劣等感を抱く(漫画:『かしこい男は恋しかしない』より)
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