"灘&開帝"新旧「超進学校の男子校生の実態」対談 灘・暁星・筑駒…有名校の取材でわかった実態

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凹沢:ありがとうございます。私自身、もともと恋愛の話を描くのが得意じゃないのですが、「陰キャ」の男子校生の生態などはすごく興味があって、共感できたんですね。

それで男子高校生の日常を描こうと思って作ったのが、『別冊マーガレット 2022年1月号』に掲載された読み切りでした。その内容が面白かったのでなんとか連載にしようと思っていたのですが、舞台をどうするかは悩みましたね。

共学の軽音部男子や生徒会男子という設定を試したのですがしっくりこなくて……。その過程で編集長が「担当編集者が男子校出身だから、それを生かしてみればどうか」とアドバイスしてくださったんです。その際、「読者的にも秘密の花園を覗ける」とも言ってもらって、「これだ!」と思いました。

ディスり文化は「男子校あるある」

田内:そのような経緯があったのですね。個人的に、この作品で特にすごいと思った点が、「男子校あるある」の描写でした。男子校に通っていると、自分たちの当たり前が、特殊であることに気づかないんです。

主人公・正直くんの友達のシグマくんみたいなひねくれているタイプが多くて、どう相手をいじるか、どうディスるかという文化があるんですね。男子校の中だと、それが仲がいい証拠になるのですが、共学では見られない文化だと知るのに時間がかかりました。

レトリックを駆使して主人公の正直をディスる友人キャラ・シグマ。実際の男子校でも「ディスり」はコミュニケーションの手段だという(漫画:『かしこい男は恋しかしない』より)

凹沢:実際、男子校を取材していると、どんな趣味でも許容される空気があると感じます。共学で女性の目があるとできないような趣味に打ち込んでいる姿はすごく生き生きしているんですよね。だから、男子校はいい環境だなぁ、なくなってほしくないなぁと思っています。

田内:逆に、女性と関わる機会は本当にないんですよね。今でこそ灘の文化祭には人がたくさん集まっているようですが、僕がいた当時は全然異性からの人気がなくて、共学の関学(関西学院)の子がよくモテていたイメージがあります。

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