「血糖値」の変動が大きい人に気づいてほしい真実 慢性的な高血糖でなくても注意が必要な場合がある

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糖尿病患者の場合、血糖値は慢性的に高いままなので、エネルギーレベルはどんどん下がる。2型糖尿病患者には慢性疲労は非常によく見られる症状で、患者のほぼ3人に2人が疲労に苦しんでいるし、糖尿病の症状として話題になる機会が2番目に多い。

血糖値をうまくコントロールしている糖尿病患者であっても、疲れはなかなか消えない──ミトコンドリアの機能不全が2型糖尿病特有の症状であることを考えれば、それも当然だろう。

2型糖尿病患者のエネルギーレベルが上がらないのは、生理的な理由だけでなく、心理的および生活スタイル的な理由も大きい。医師のなかには、「糖尿疲労症候群」という病名を考案して、糖尿病によって起きる疲労をほかの原因による慢性疲労と区別しようとする人もいる。

脂肪細胞が膨れると「新しい脂肪細胞」が生まれる

私たちには一人ひとり、体脂肪の最適値の範囲があり、自分の代謝系を正常に機能させるにはその範囲を守らなければならない。「個別脂肪閾値(しきいち)」と呼ばれるその範囲を超えると、代謝系は機能不全を起こし、2型糖尿病になる恐れがある。

私たちの体は、もしもに備えて肌の下に脂肪をたくわえる。この皮下脂肪は、ほかの器官や筋肉が必要としない余分なグルコースと脂肪を吸収し、断食や飢餓の際に使えるよう貯蔵しておける安全な場所だ。

脂肪細胞はエネルギーを取り込むにつれ、空気の入った風船のようにふくらむ。だが、風船は空気が入りすぎると破裂してしまう。脂肪細胞は大きさが「臨界閾値」に達すると、自らの身を守るためエネルギーの供給を受けつけなくなり、新たな脂肪細胞をつくり出してさらに多くのエネルギーを取り込もうとする。

新たな脂肪細胞をつくり出してエネルギーの負荷を分配する能力があるかどうかは、私たちの遺伝子によるところが大きい。

次ページその先に待っているのは、2型糖尿病の宣告
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