アメリカ自動車大手のフォード・モーターが、中国戦略の大幅な見直しを進めている。その要点の1つは、中国工場の輸出拠点化だ。
「中国からの輸出は今や非常に重要だ。EV(電気自動車)であれエンジン車であれ、わが社の中国拠点の輸出ビジネスはとても儲かっている」。フォードのジム・ファーリーCEO(最高経営責任者)は2月6日、2023年通期および同年10~12月期の業績説明会でそう述べた。
決算報告書によれば、フォードの2023年のグローバル売上高は1762億ドル(約26兆788億円)、調整後EBIT(利払い・税引き前利益)は104億ドル(約1兆5392億円)だった。同社が力を注ぐEV事業は赤字が続いており、EBITベースで47億ドル(約6956億円)の損失を計上した。
余剰生産能力を輸出に振り向け
フォードは今回の決算で、中国市場単体の業績は開示していない。だが、決算報告書のなかで「北アメリカを除く地域の収益性とキャッシュフローが増加に転じた」と述べ、海外事業の業績改善を示唆。その要因について「中国やその他の地域で投資を抑制した効果が反映された」と説明した。
中国事業に関して、フォードが輸出拠点化を含む戦略転換を打ち出したのは2023年5月のことだ。中国市場への投資額を全体的に減らし、利益率の高い事業に集中すると宣言した。
具体的には、中国市場での販売車種は(利幅が大きい)SUVと(ピックアップトラックなどの)商用車を主力にし、中国工場の余剰生産能力をエントリークラスのEVとエンジン車の輸出に振り向けるというものだ。
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