再びファンドが筆頭株主、サッポロの不動産にメス 「恵比寿ガーデンプレイス」も流動化の対象に

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酒類事業への集中で、サッポロはどう変わるのか。

国内は人口減少で販売数量の大きな増加が見込めない中、ビールへの回帰は確実に進む。発泡酒や新ジャンルのシェアが低いサッポロにとっては好機だ。

さらに22年にビール類全般、23年には業務用ビールの一斉値上げが実施されたように、業界は数量より利益を求める流れを強めている。みずほ証券の佐治広シニアアナリストは、「サッポロはシェア低下が続いてきたが、高収益のビールを伸ばすことでシェアも回復に転じる可能性がある」と指摘する。

「サッポロビル」と揶揄された歴史

サッポロのビール類酒税抜き売上単価は、23年に対前年比で9%上昇し、収益性は上がっている。ブランド力のある「ヱビス」「黒ラベル」を強化することで、利益率改善が期待できる。

海外酒類にも力を入れていく。M&A(合併・買収)を進めてサッポロ商品の販売拡大を狙う。中長期的には海外酒類を国内と同規模まで成長させる方針だ。しかし過去の買収を見ると、数年での減損計上や赤字を脱せないパターンを繰り返している。

経営企画担当役員の松風(しょうふう)里栄子取締役は「過去をしっかり精査し、反面教師にして取り組む」と語る。まずは22年買収の米ビール会社ストーンを軌道に乗せられるかが試される。

これまで不動産頼みの経営に対し「サッポロビル」と揶揄されることもあったが、ついにメスが入ることとなった。再びファンドが筆頭株主となり、背水の陣で構造改革が動き出す。

田口 遥 東洋経済 記者

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たぐち はるか / Haruka Taguchi

飲料・食品業界を担当。岩手県花巻市出身。上智大学外国語学部フランス語学科卒業、京都大学大学院教育学研究科修了。教育格差や社会保障に関心。映画とお酒が好き。

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